こんにちは~
今回は実務経験ゼロの合格者が、ぶち当たるカベあるあるをご紹介します。
司法書士試験の合格者は補助者経験のある方も一定数いますが、実務未経験者の方が圧倒的に多いようです。
かく言う私も実務経験はなし、法学部出身でもなければ、全く畑違いの職種から司法書士の世界に飛び込みました。
(私のプロフィールはこちら↓)
試験のための受験勉強しかしてこなかったので、実務に出てからその違いに戸惑いがありました。
司法書士試験は実務家登用試験なので、勉強したものがそのまま実務にも活かせます。
しかし、まったく同じかというとそうではなく、実務と試験では乖離する部分も多くあります。
そこで今回は、実務未経験者の私が経験した実務と試験との違いあるあるをご紹介します。
登録免許税
一番はなんといってもこれですね。
登録免許税です。
試験においての登録免許税の計算は、租税特別措置法を考慮しないので、課税価格にそのままの税率をかけて計算していました。
ですが、実務では軽減税率で計算するのが常識です。
【例】
課税価格が1000万円の土地の売買の場合
試験では税率が20/1000ですが、実務では租税特別措置法第72条第1項が適用され、税率は15/1000になります。
試験 | 1000万円×20/1000=20万円 |
実務 | 1000万円×15/1000=15万円 |
このように実際には5万円も差が出るので、安価な金額の方をお客様に提供できるようにしましょう。
特に即独立する人は注意が必要ですね。
住宅用家屋証明書
司法書士試験における登記申請書の添付書面には住宅用家屋証明書は、書かなくてよいとされています。
私は本当にど素人だったので、実務に出るまでこの書面の存在すら知りませんでした。
住宅用家屋証明書については各自治体のHPに詳しく載っているので、そちらを参照してください。
例えば横浜市の場合はこちら
簡単に説明すると、個人が一定の要件を満たした住宅用の家屋を新築又は取得し、当該個人の居住の用に供した場合に、登録免許税の税率の軽減措置が受けられます。
この軽減措置を受けるために必要な書面ということです。
この書面を添付すると、所有権保存・移転、抵当権設定の登記の際に軽減措置を受けることができるようになります。
【例】
債権額が1000万円の抵当権設定の場合
試験だと1000万円×4/1000で登録免許税は4万円です。
この軽減措置を受けると、租税特別措置法第75条が適用され、1000万円×1/1000で登録免許税は1万円になります。
試験 | 1000万円×4/1000=4万円 |
実務 | 1000万円×1/1000=1万円 |
この住宅用家屋証明書を発行するには、様々な条件が必要になってきます。
自治体によって条件はケースバイケースなので、案件ごとにしっかり確認することを忘れないようにしましょう。
固定資産評価証明書
固定資産評価証明書も住宅用家屋証明書と同じく、試験には出てこないので実務に出て初めて目にするものかも知れません。
固定資産証明書とは、土地や建物などの固定資産の評価額を証明する書類です。
この評価額をもって課税価格を定め、登録免許税を計算することになるのですが、その評価額を証明するために添付することになっています。
この固定資産評価証明書も自治体ごとに、特徴があるので、慣れるまで見方に苦戦するかも知れません。
原本還付
司法書士試験において添付書面が原本還付できるかできないかは、押さえておくべき論点ではありますが、そこまで頻出というわけではありません。
ですが、実務においてはお客様に返却する大事な書類になるので、原本還付できるのにそれをせずに、そのまま法務局に提出してしまっては、大変なことになってしまいます。
なので、添付する書類が原本還付ができるものなのかどうかを常に意識しなければなりません。
例えば抵当権設定登記を申請する際に添付する設定者の印鑑証明書は原本還付はできませんが、相続による移転登記を遺産分割によってする際に添付する印鑑証明書は原本還付をすることができます。
という具合にどの場合にどうなるのかというのは、早めに覚えておきましょう。
ちなみに先にご紹介した試験で考慮しない添付書面についてはどうなのか見ていきましょう。
住宅用家屋証明書・・・原本還付できる
固定資産評価証明書・・・原本還付できる場合とできない場合がある。
(登記用に取得している場合は原本還付は×)
まとめ
以上、実務未経験の合格者がぶちあたるであろうポイントをまとめてみました。
実務未経験者の方は、やっとの思いで試験に合格して、自分に合う事務所に入って、さあ仕事!といった時におそらくこれらについての疑問が出てくると思います。
試験のための受験勉強は終わりましたが、実務に出てからが本当のスタートです。
正直、試験に受かったばかりの実務未経験者より、経験豊富な補助者さんの方が圧倒的に仕事ができるのは言うまでもありません。
合格者なのにこんなこともわからないの?とならないように合格後は実務に則した勉強をしていきましょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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