しらたま先輩、司法書士の特別研修に参加する予定なのですが、
その内容について教えてください!
特別研修についての情報は意外と少ないからね~
では今回は特別研修について解説していくよ~
新人研修
特別研修
司法書士試験に最終合格すると新人研修が始まります。
この新人研修は任意ですが、ほとんどの合格者が受けています。
正直、補助者をやっている人にとっては、既知の内容もありますし、結構お金がかかります。
ですが、司法書士についての基礎的な知識を学べるので、受けて損はないと思います。
この新人研修は、新型コロナウイルスの影響を受けて令和3年度からほとんどオンライン化されています。
コロナ前は同期の合格者が一堂に会し、交流を深める場にもなっていたようなので、若干寂しい感じもありますが…
オンライン化のメリットは、時間・場所の縛りなしに割りと自由なタイムスケジュールで研修に参加できると言うところにあります。
意外と交通費や、遠方の場合の宿泊費等もばかにできないですからね。
さて、この新人研修は中央研修から始まり、ブロック研修、そして各書士会の研修と続きます。
これらの研修においての必須図書は特にありません。
主宰側がテキストを用意してくれるからです。
(書士会によっては膨大な量の必須図書を指定されますが、ほとんど使いません。)
中央研修、ブロック研修、各書士会の研修の内容は司法書士として活躍するにあたり、前提として持っておくべき知識や実務についてのものになります。
その他にも地域によっては配属研修もあります。
個人的には配属研修はそんなに無理して参加しなくても、実務に出てからいくらでも経験できるので必須ではないと思います。
さて、いよいよ特別研修についてです。
特別研修は他の研修とは全く性質が異なります。
ぶっちゃけた話、新人研修を受けなくても司法書士の登録はできます。
ところが特別研修の場合、簡裁訴訟代理等能力認定考査を受けるためには、必ず修了しなければならないのです。
法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)は,簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等について,代理業務を行うことができます。
いわゆる簡裁代理権のことですね。
認定司法書士になるために受ける認定考査の願書を出すには、この研修の終了証が必要になってきます。
ちなみにもし特別研修を受けた年の認定考査に落ちてしまっても、また翌年の特別研修を受けることなく、試験だけ受けることは可能です。
特別研修についてもう少し詳しく見ていきましょう!
令和3年度の特別研修の経験談も話すよ!
期間・費用・内容
令和3年度の第20回特別研修は、新型コロナウイルスの影響により5月末から7月頭まで実施されました。
例年だと3月頃に実施されていました。今年受講される方は、案内に注意してください。
通称100時間研修と呼ばれるほどのタイトなスケジュールなのに加え、復習と予習も必須の内容になっていますので、働いている人や子育て中の人にはとってはかなりハードなものになります。
主には土日の10時から15時(又は17時)までのものになりますが、裁判傍聴やその他講義など、平日に実施されるものも多くあります。仕事など早めに調整することをおすすめします。
また、研修費用は145,000円とかなりの高額になっています。
中央研修やブロック研修に比べるとかなりの高額なんだね・・・
仕事との調整も必要になってくるのか・・・
その分内容も充実しているよ!
ちなみに後で説明するけど、理由なく15分以上の遅刻は厳禁だよ!
次に、特別研修の内容についてです。
基本的には簡裁代理権を取得するために必要な「要件事実」の理解についていろんな形式で深く学んでいきます。
基本講義
基本講義はビデオ研修12時間です。
具体的には憲法や訴訟代理人としての倫理・専門家責任、簡易裁判所における民事事件に特有な事項、事実認定、立証等に関する内容になります。
グループ研修
地域にもよりますが、10~15人ほどで一つのグループが構成され、さらにグループ内で5人一組の班が組まれます。
与えられた事例課題及び提出起案の作成について、ゼミナール、模擬裁判及び総合講義の効果的受講のために必要な予習を行うことを目的とします。
具体的には、訴状、答弁書、準備書面及び証拠申出書の作成や事例に関する討議などを行います。
この班のメンバーはかなり深く接することになります。しっかりした人が1人いてくれたら結構ラッキーです。
ゼミナール
簡易裁判所における訴訟代理人として活動するために必要な実践的知識及び能力を習得することを目的としています。
具体的には要件事実に関する講義を踏まえて、不動産訴訟及び金銭訴訟に関する事例研修などを行います。
実務研修
法廷傍聴や講師による説明や質疑応答を行います。
私は地方裁判所と簡易裁判所にて計3回裁判傍聴を行いました。
正直な話、簡易裁判所での傍聴より地方裁判所での傍聴の方が内容が濃く面白かったという印象がありました。
簡易裁判所での事件は、ほとんど被告が出廷しない欠席裁判だったからと言うことも関係しているかも知れません。
地方裁判所は、ドラマなどでよく見るような一般の人たちがイメージする裁判で、敏腕弁護士が当事者尋問をかっこよく?決める様子が見られました。
模擬裁判
実際に訴訟代理人役や裁判官役、原告役、被告役、証人役などを決めて、金銭訴訟、不動産訴訟について証人尋問や和解を試みます。
先に紹介したグループ研修やゼミナールは、この模擬裁判のための準備とも言えるでしょう。
私はじゃんけんに負けて、裁判官役になってしまいました。
一応原告側として準備段階から関わっていたので、「仲間意識もあるし、原告有利にしよう」などととんでもないことを思っていたのですが、実際の証人尋問期日の裁判を終えた後は被告勝訴の判決を下すことになりました。
総合講義
訴訟代理人としての倫理や、事件受注から終結に至るまでの全般にわたって必要な意識や自覚などに関する講義を行います。
令和3年度の特別研修はZoomでの研修と、リアルで集合しての研修とがほぼ半々でした。
Zoomで班ごとに訴状作成はできなくはなかったけど、実際に会って意見を出し合う方が
活発な議論になってよかったです!
注意点
遅刻厳禁
上記の通り盛りだくさんな内容の特別研修ですが、いくつか注意点があります。
認定考査を受けるために必ず全過程を修了しなければならない特別研修ですが、15分以上の遅刻で欠席扱いになります。
一回でも欠席した場合、研修を修了することはできません。
実際にZoomでの講義に1時間遅れて入ってきた人がいましたが、次回の研修からは名前が除かれていました・・・。14万円が・・・。
しかし一定の条件を満たせば、補講を受けることができる場合があります。
予習・復習必須
グループ研修やゼミでは1回につき、大体2回は指名されます。
指名されて質問に答えられなくても、特にペナルティーはありませんが、基本的な質問に答えられないと赤っ恥です。
そのため予習は必須ですし、次の研修において前回の学んだことの質問に答えられないのも避けたいことなので、復習も大事です。
私はZoomでの講義の時、PCの下で参考書や六法を片手に、必死に質問の答えを探していました。後々聞いたら、ほとんどの参加者は同じように必死だったようです。
認定考査
特別研修を無事に終了したら2~3か月後に認定考査の試験があります。
令和3年度の法務省の簡裁訴訟代理等能力認定考査のHPはこちらhttps://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00368.html
特別研修の内容が認定考査に役に立たないという意見も聞いたことがありますが、私はそれなりに有益だったと思います。
ちなみに令和3年度の合格率は70.6%でした。
直近の合格率は以下の通りです。
令和2年度 | 79% |
令和元年度 | 79.7% |
平成30年度 | 43.1% |
平成29年度 | 57.5% |
もちろん簡単な試験ではありませんが、しっかり計画を立てて勉強すれば、恐れることはありません。
個人的には、勉強へのモチベーションを保つことが一番難しかったかなと感じています。
司法書士試験という、かなりの難関試験を突破するために費やした時間や熱量を、この試験まで維持できる人は少数です。
シンプルですが、「いかにやる気を出せるか」が大事です!
まとめ
特別研修について解説してきました。
令和3年度は、実際に現地に集合しての研修はそんなに多くなかったのですが、一緒に過酷な研修を乗り越えた同期の仲間たちは、今やかけがえのない戦友です。
そしてチューターをしてくださった弁護士の先生とは今も交流があり、人脈を築くと言うことにもこの研修は一役買ってくれました。
特別研修は、確かに質、量ともにハードな内容ですが、それゆえにとても有意義で濃い時間を過ごすことができます。
皆さんもぜひ楽しんで意義のある研修にしてください。
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